【3月21日 AFP】オランダ・ハーグ(The Hague)の国際刑事法廷メカニズム(MICT)は20日、ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦のセルビア人勢力指導者、ラドバン・カラジッチ(Radovan Karadzic)被告(73)の上訴審で、同被告に終身刑の確定判決を言い渡した。

 MICTは判決理由として、同内戦における被告の戦争犯罪の「すさまじい規模と組織的残虐行為」を挙げた。判決が読み上げられる中、カラジッチ被告は険しい表情で無言のまま被告席に立っていた。

 旧ユーゴスラビアの分裂解体を招いた戦争での犯罪を裁く公判は、今回の上訴審を含めて残りわずかとなっている。

 国連(UN)旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(ICTY)は2016年、ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦で起こったスレブレニツァ(Srebrenica)の虐殺におけるジェノサイド(大量虐殺)の罪と、1990年代を通じた戦争犯罪により、カラジッチ被告に40年の禁錮刑判決を言い渡していた。

 同法廷を継承したMICTは、一審判決に対する支持を表明した上で、欧州における第2次世界大戦(World War II)以降最悪の殺戮(さつりく)で被告が果たした役割に対し、一審の量刑は軽すぎると指摘。被告に終身刑を科した。

 今回のMICTの判断は確定判決となる。傍聴席では、判決を聞いた犠牲者の遺族らが一斉に立ち上がり、拍手と歓声が湧き起こった。

 バン・ヨエンセン(Vagn Joensen)裁判長は「カラジッチ被告は、自身は軍事訓練を受けていない精神科医であり、詩人であるとしたが、この主張はボスニア軍に対する同被告の広範な権限を無視するものだ」と述べた。

 ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦は3年に及び、約10万人が死亡したほか、220万人が家を追われた。検察は、被告はこの間、ボスニアのセルビア人勢力が領有を主張する地域から「イスラム系およびクロアチア系住民を恒久的に排除する」ことを望んでいたと主張した。(c)AFP/Danny Kemp with Rusmir Smajilhodzic in Srebrenica