【3月12日 AFP】エチオピア航空(Ethiopian Airlines)が運航するボーイング(Boeing)の737MAX8型機が10日、墜落する事故が発生した。同型機が事故を起こしたのは過去5か月で2度目となり、ボーイングは今、同機の耐空性に関する新たな問題に直面している。

 だが、航空宇宙産業界の巨人ボーイングのドル箱となっている同型機の運航を、米当局が停止させる可能性はあるのだろうか?

 米連邦航空局(FAA)は、事故現場であるエチオピアの首都アディスアベバに調査チームを派遣しており、捜査官らと協力し墜落原因究明に努め、同機に関する問題が見つかれば「直ちに」措置を講じると約束した。

 FAAに加え、米運輸安全委員会(NTSB)とボーイングも、捜査に協力するため人員を現地に派遣している。エチオピア航空によると、すでにフライトレコーダーが含まれたブラックボックスは回収されている。

 米航空宇宙コンサルタント会社ティールグループ(Teal Group)のリチャード・アブラフィア(Richard Aboulafia)氏によると、中国とインドネシアは、国内航空各社に737MAX8型機の運航中止を命じた他、エチオピア航空自身も同型機の運航を見合わせている。

 同氏は、「現時点で今回の墜落について確実なことは何も分からないが、運航停止(という選択肢)は確かに排除できない」と述べ、輸出企業としてボーイングが経済的に重要だとしても、米当局は政治的圧力に屈してはならないと指摘した。

 事故を起こしたエチオピア航空ET302便は、アディスアベバからケニアの首都ナイロビへ向かって離陸した直後墜落し、乗客乗員157人全員が死亡した。昨年10月インドネシアのライオン航空(Lion Air)の旅客機が同じく離陸直後に墜落したが、この事故機もボーイング737MAX8型機だった。この事故では乗客乗員189人全員が死亡した。

 ボーイング737MAX8型機は、737型機の燃料効率を高めたモデルだが、これだけの短期間に新型機が2機も墜落事故を起こしたのは、1970年代以来となる。

 事故原因はいまだ不明だが、ライオン航空の事故後には、翼に対する空気流の角度に関するデータを提供するAOA(迎角)センサーが問題になっており、今回も調査が行われている。AOAセンサーの異常で失速防止システムが誤作動し、機体の上昇が必要なときに急下降した可能性が指摘されている。