【3月11日 AFP】英元海兵隊員で、片足が義足のリー・スペンサー(Lee Spencer)さん(49)が、ポルトガルからボートで大西洋を2か月で横断し、11日、南米のフランス領ギアナに到着した。スペンサーさんのチームによると、欧州から南米までのボートによる大西洋単独横断に、身体に障害があるにもかかわらず成功したのはスペンサーさんが初めてで、さらに健常者による記録も破ったという。

 欧州大陸から南米までボートによる大西洋単独横断に史上初めて成功したのは、ノルウェー人のスタイン・ホフ(Stein Hoff)さん。2002年にポルトガル・ガイアナ間を96日と12時間45分で渡り、これが今までの最短記録だった。

 1月9日にポルトガル南部ポルティマン(Portimao)を出発し、5600キロをこぎきって仏領ギアナに到達したスペンサーさんは身体障害のないホフさんの記録を36日間短縮し、2か月での横断に成功した。

 スペンサーさんは英海兵隊の特殊部隊に24年間所属し、アフガニスタンで3度従軍するも無事帰国していた。しかし2014年、高速道路で交通事故を目撃して被害者の救助に当たっていたところ、飛んできた車の残骸が右脚に当たり、膝から下を失ったという。

 出発前、「ローイングという高い身体能力を必要とする競技で障害者が健常者の記録を破ることができれば、それはとても大きな力の表明になる。私が目指すのはまさにそれだ」と語っていたスペンサーさん。自身の挑戦が、障害というものの認識を変えることにつながればと願っている。(c)AFP