【3月9日 AFP】ベネズエラで7日夜から国土の大半を覆う停電が発生し、大きな混乱が生じた。停電は24時間以上続き、政府は8日の業務を中止したほか、学校を閉鎖。また、首都カラカスの病院では、人工呼吸器が止まったことにより患者1人が死亡した。

 同国のニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領は、混乱は米国の破壊工作によるものだとしている。

 危機的な状況が続いているベネズエラだが、人々の記憶にある限り、今回の停電は時間と範囲の両面で最大規模。この状況を受け、マドゥロ大統領と、米国が支援する野党指導者フアン・グアイド(Juan Guaido)氏による権力闘争が一段と緊張の度合いを増している。

 デルシ・ロドリゲス(Delcy Rodriguez)副大統領はツイッター(Twitter)で、「国内の電力サービスの復旧作業を円滑化するため」、マドゥロ大統領が事業所と学校の閉鎖を決めたと明らかにした。

 首都カラカスでは7日、夕暮れが迫る午後4時50分(日本時間8日午前5時50分)に全域が停電した。同市は世界で最も犯罪の多い都市の一つで、人々は日没のかなり前に早々と帰宅した。

 同国での報道によると、停電によって国内の大半の地域で大きな混乱が発生。病院をはじめとする公共施設の日常業務に重大な影響が出た。一部の病院では、暗闇の中、入院中の親族を非常用電力設備が整った別の施設に必死に移そうする人の姿も見られた。

 首都カラカスの大学病院では8日早朝、感染症で入院していた女性患者が人工呼吸器が止まって死亡した。この患者のおじによると、病院は11階建てで、停電でエレベーターが止まったため医師らは患者をストレッチャーに乗せて電力が来ていた1階に運び、人工呼吸器につないで懸命に救命しようとしたが、命を救うことはできなかった。

 マドゥロ大統領が外国からの人道支援物資の搬入を阻止するため国境を封鎖していることを受け、ベネズエラは8日、完全に孤立した。

 同大統領はツイッターに「米帝国主義が宣言し、指導したわが国民に対する電力戦争は、打ち破られるだろう」と投稿した。

 一方、カラカスで停電の状況を視察していたグアイド氏は、危機の解決策は「主権の簒奪(さんだつ)をやめさせることだ」とツイッターに書き込み、10日の大規模デモの実施を改めて呼び掛けた。(c)AFP