【3月8日 AFP】仏南東部リヨン(Lyon)の裁判所は7日、聖職者による性的虐待を隠蔽(いんぺい)したとして、ローマ・カトリック教会の同市大司教フィリップ・バルバラン(Philippe Barbarin)枢機卿(68)に執行猶予付き禁錮6月の有罪判決を言い渡した。バルバラン被告は判決の数時間後、辞職を表明。裁判は仏カトリック教会に衝撃を与え、世界各国での虐待問題で苦境に立つローマ法王庁(バチカン)にとってはさらなる悩みの種となっていた。

 2003年から枢機卿を務めるバルバラン被告は、各国で勃発している小児愛スキャンダルの影響を受けたフランスの聖職者としては最高位の人物。フランシスコ法王(Pope Francis)は数週間前、このスキャンダルに対し「総力戦」で取り組むと宣言したばかりだった。

 裁判所はバルバラン被告に対し、1980~90年代にベルナール・プレナ(Bernard Preynat)司祭がボーイスカウトの少年らに対し虐待を繰り返していたとの疑惑についての通報を怠ったとして、有罪判決を言い渡した。2016年に訴追されたプレナ司祭の裁判は今年行われる見通し。

 性的虐待の通報を怠ったとして有罪判決を受けたフランスの高位聖職者は、バルバラン被告が3人目。判決の言い渡しを欠席した同被告は「裁判所の判断をしかるべく認知する」と述べたが、弁護士は上訴する意向を示した。(c)AFP/Pierre PRATABUY, Alexandre GROSBOIS