【3月10日 AFP】タイの女性アイドルグループBNK48のメンバー、ナムサイ(Namsai)さん(19)は、ナチス・ドイツ(Nazi)のかぎ十字が描かれたTシャツを着た写真が拡散したことが原因で、グループから追放されるのではないかと心配していた。だが、この騒動がなかったら、自分が選んだファッションに問題があるとは気づかないままだっただろうと話す。

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 欧州は今、反ユダヤ主義の台頭と闘っている。一方、東南アジアは、ナチスの来歴に関する知識の欠如と闘っている。タイの市場ではかぎ十字が付いた小物が売られていたり、インドネシアでは自撮り用にヒトラー(Adolf Hitler)像が置かれていたり――東南アジアでは、ナチスのシンボルが気軽に公の場に紛れ込んでいる。

 ナムサイさん(本名:ピッチャヤーパー・ナーター<Pitchayapa Natha>)は先月、赤地に黒いかぎ十字が付いたナチス・ドイツの国旗が描かれたTシャツを着てリハーサルに臨んでいた様子がテレビ放送され、イスラエル大使館が「衝撃と失望」の意を表明するほどの騒動となった。

 インスタグラム(Instagram)で37万人を超えるフォロワーを持つナムサイさんは、すぐに「私の過ちでした」と謝罪を投稿。イスラエル大使の元を訪れ、ステージ上で涙ながらに謝罪もした。

 さらにナムサイさんは、タイの学校で行われているホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大量虐殺)のセミナーに参加する意思を表明し、自分でナチスの歴史も調べている。バンコクの国連事務所で行われたホロコースト追悼行事も訪れた。「つらい経験だった」が、同時に学ぶ「機会」も与えてくれたと、ナムサイさんは語った。