【3月8日 Xinhua News】中国河南省鄭州市でこのほど開かれた2018河南考古新発見フォーラムで、洛陽市紗廠西路で発掘された前漢時代の墓の発掘責任者である潘付生(Pan Fusheng)氏は、同墓から出土した青銅の壺に入っていた液体は、硝石とミョウバンの水溶液「礬石水(ばんせきすい)」で、古代人が硝石とミョウバンを使って調合していたという文献の記載と一致しており、液体が「仙薬」であることが分かったと発表した。

 同墓は、昨年10月初頭に考古学者が発見した空洞レンガ造りのアーチ状大型墓で、さまざまな種類の高い階級の副葬品が出土した。そのうち、高さ50センチ、最大径34センチの青銅の壺に入っていた3500ミリリットル弱、重さ約3.5キロの液体を考古学者が前漢時代の酒とみられると判断し、話題になっていた。

 液体の正体は何なのか。洛陽市文物考古研究院と北京科技大学科技史・文化遺産研究院が協力し、壺内の上澄み液と下方の沈殿部分からそれぞれサンプルを採取して研究した結果、液体の主成分は、硝酸カリウム(KNO3)とミョウバン(KAl3(SO4)2(HO)6)と判明した。

 潘氏によると、古代中国の煉丹術には、原料を加熱する「火法」と原料を液体にする「水法」の2種類の形式があった。水法は当初、仙人になることを目的に行われていたが、後に煉丹に使われるようになった。古い書籍「三十六水法」に、古代人が硝石とミョウバン石を使って「仙薬」を調合する手順が記されている。同書は、中国で現存する最古の水法専門書として、水法煉丹の先駆的著作とたたえられる。

 同墓からは、両面にそれぞれ「耿大印」と「耿少翁印」と彫られている銅印が出土しており、考古学者は耿(Geng)姓の家族の墳墓と推測している。潘氏は「墓からは大量の金箔飾りや彩色陶器の壺、玉器なども出土しており、大雁銅灯は洛陽地区では初めて発見された。前漢時代中後期の高級貴族の生活習慣や埋葬習俗などを研究する上で、貴重な実物資料になる」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News