■5000万年前の温暖化の謎

 英科学誌ネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience)に発表された今回の研究結果は、現在より気温が約12度高かった5000万年前の始新世初期に関する長年の謎を解決する可能性がある。

 これほどの水準の温暖化は、CO2濃度が約4000ppmにまで上昇していなければ説明がつかないが、実際の濃度はその25~50%にしか達していなかったことが地質学的証拠で分かっている。

 今回の研究によると、1000~2000ppmのCO2濃度がまさに、地球を冷却させる雲を消失させ、気温を最高で8度押し上げる限界値に当たる。

 シュナイダー氏は「層雲層の消失に起因する気温の急上昇は、始新世における温室気候の出現を説明できる可能性がある」と指摘した。(c)AFP/Marlowe HOOD