【2月26日 Xinhua News】中国河南省安陽市の辛店遺跡でこのほど、商(紀元前約1600年〜紀元前1046)末期の青銅製の大型礼器および鋳造の際に用いられた陶製の鋳型が出土し、この場所が主に大型の青銅製礼器の鋳造を行った商末の鋳造遺跡であることを裏付けた。

 考古学者が同遺跡で発掘した多くの墓からは、商末の青銅製礼器34点が出土した。そのうち20点には「戈」の字の銘文が刻まれていた。この他、陶製の型枠や原型、芯など4000点余り、溶鉱炉の壁や精錬くずの破片など約千点、砥石や青銅製工具、骨製工具など百点を含む鋳銅に関連する遺構や遺物が大量に出土した。

 一つの土坑から方鼎(ほうてい)、方尊(ほうそん)、方斝(ほうか)など、比較的大型の「方形」青銅器の陶製原型が出土したことは考古学者を驚かせた。専門家でもめったに見られない「方形器」の出土は、大きな意義を持つ。

 「出土した陶製型枠を見ると、この遺跡は大型の青銅製礼器の鋳造を主に行っていたことが分かる。器の類型では鼎(てい)、簋(き)、尊(そん)、觚(こ)、爵(しゃく)、斝(か)、卣(ゆう)、觥(こう)、盉(か)、簇(そう)などが見られる」と安陽市文物考古研究所の孔徳銘(こう・とくめい)所長は述べ、「これら商末の鋳銅遺構や遺物の発見は、辛店遺跡の青銅器鋳造の規模の大きさ、製造技術の高さ、製品の種類の豊富さといった特徴を改めて裏付けた」と指摘した。

 辛店遺跡の鋳銅遺構は2016年に発見され、同年の河南省での考古学的5大新発見の一つとされた。インフラ整備に協力するため、安陽市文物考古研究所は国家文物局の承認を受け、2018年から同遺跡で再発掘を行っている。 

 同遺跡内で新たに出土したものの多くは、商代末期の青銅器鋳造と関係する平坦に踏み固められた地面、料疆石(石灰岩の一種)の地面、焼けた(土の)地面、陶製型枠の堆積、溶鉱炉底部、窯跡などの遺構で、この場所が青銅器鋳造を中心とする手工業の工房エリアで、非常に大きな面積の中で各作業場が明確に区分けして配置されていたことをはっきり示している。

 これらの遺構の上層からは、大型建築物の基礎5件と地下の陶製排水管1件が見つかっている。専門家は、建築物は西周(紀元前1046年〜紀元前771年)初頭に入ってから使用されたものである可能性が極めて高く、安陽地区では希少な商、周代の大型礼制建築の遺構だと推測している。

 「甲骨文には『大邑商』という記述があり、辛店遺跡の発見と発掘は、実際の『大邑商』の範囲を示すもので、殷墟の研究範囲を拡大し、殷墟の時代(商代)の都城の空間構成や範囲などを研究する上で、最初の突破口となる発見だ」と孔氏は語った。(c)Xinhua News/AFPBB News