【2月16日 AFP】2001年9月11日の米同時多発攻撃の犠牲者補償基金は15日、支払い請求の急増を受けて財源が不足し、個々の支払額を最大で70%削減すると発表した。

 74億ドル(約8180億円)規模の「9.11犠牲者補償基金(September 11th Victim Compensation Fund)」のルパ・バタチャリア(Rupa Bhattacharyya)氏は、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)による同時多発攻撃によって負傷した人や損害を被った人、後にがんなどの病気を発症した人からの請求2万1000件に対し、これまでに約50億ドル(約5520億円)を給付したと述べた。

 しかし、2020年12月の基金解散を前に請求が急増して満額補償が不可能となり、請求者に対して本来の金額の半分か30%しか支払うことができないことが明らかになったという。

 財源不足が迫っていることが公になった昨年10月以降、請求件数は急増。未処理案件は2万件に上っている。2020年12月の期限までに、さらに「数千件」が請求される見込みという。

 こうした請求に応じるには、さらに50億ドルの財源が必要だが、いまだ連邦議会の承認を得られていない。

 犠牲者補償基金は同時多発攻撃に起因する経済的損失、負傷、家族の死、病気などの損害を補償するため、政府が設立。これまでにがん関連の請求8000件が受理された。ここ数か月は、家族の死が同時多発攻撃に関係する可能性のある遺族からの請求も急増している。(c)AFP