【2月14日 AFP】和歌山県太地(Taiji)町のイルカ追い込み漁について、この慣習は残酷かつ動物愛護法に違反しているとして、日本の動物愛護団体が漁業許可の取り消しを求めて提訴していたことが14日、明らかになった。

 訴えを起こしたのは、「ライフ・インベスティゲーション・エージェンシー(Life Investigation Agency)」。先週和歌山県知事に対し、3年間有効の追い込み漁許可を無効とするよう求めたとされる。

 イルカを入り江に追い込んで捕獲するこの追い込み漁では、パニック状態に陥ったイルカが網に絡まって窒息死することが多い。岩にぶつかって死ぬイルカもいれば、漁師が長い金属の棒で繰り返したたいて殺すこともある。

 これを題材にした2009年公開の映画『ザ・コーヴ(The Cove)』が、米アカデミー賞(Academy Awards)の長編ドキュメンタリー賞を受賞したことから、イルカ追い込み漁は世界の注目を集めることとなった。

 提訴に関与した弁護士によると、太地町の追い込み漁に関する訴訟は初めて。原告側はこの漁法が、動物の不要な殺傷を禁じ、殺す必要がある場合も苦痛を最小限とするよう定めた日本の動物愛護法に違反していると訴えている。

 太地町住民1人と共に訴えを起こした同団体の矢吹蓮(Ren Yabuki)代表は、多くの日本人がイルカを魚類とみなし、イルカには動物愛護法が適用されないと誤解していると語った。

 日本には、イルカを食用として捕獲する伝統がある。追い込み漁を擁護する人々は、この漁法が地元の伝統文化の重要な一部を成していることに加え、イルカは絶滅の危機にひんしているわけではないと主張している。(c)AFP