【2月18日 Xinhua News】中国科学院深圳先進技術研究院の研究チームはこのほど、オジギソウからヒントを得て、既存の生物材料の形態変化の制御に成功したことを明らかにした。この発見は、人工器官の材料源の拡大につながると期待される。研究成果は学術誌「リサーチ」に掲載された。同誌は学術誌「サイエンス」の協力計画に組み込まれた刊行物の一つで、中国科学技術協会と「サイエンス」を発行する米国科学振興協会(AAAS)が共同で発行している。

 生物材料の形を人々の需要に応じて変化させ、医学的な実用に適した材料を作ることは長年難題とされてきたが、研究者は軽く触ると葉を速やかに閉じるというオジギソウの特性からヒントを得た。

 論文の責任著者で中国科学院深圳先進技術研究院の杜学敏(Du Xuemin)副研究員は、コンブから抽出したアルギン酸ナトリウムが柔らかいハイドロゲルを形成でき、その力学的、生物学的特性はヒトの軟体組織と類似しているが、このハイドロゲルは形態変化の能力に乏しく、人工器官の材料とするのは難しかったと述べた。

 そこでオジギソウが科学者にインスピレーションを与えた。杜氏らの研究チームはオジギソウの「おじぎ」の動きについて、植物細胞内部のイオンの調節作用が核になっていることを発見。9カ月かけて、アルギン酸ナトリウムから作ったハイドロゲル上にオジギソウに似た構造を設計し、ハイドロゲルを特殊な溶液に入れ、溶液中のナトリウムイオンとカルシウムイオンの相互作用を調節することで、ハイドロゲルの「らせん状から逆方向のらせん状へ」の形態変化を制御することに成功した。

 華東師範大学化学・分子工程学院の張利東(Zhang Lidong)教授は、このバイオニックデザインが従来の生物材料の形態変化の課題を解決する普遍的な方法を提供しており、再生医学やソフトロボットなどの分野で一部の生物材料のさらなる応用が期待できるとの考えを示した。(c)Xinhua News/AFPBB News