【2月15日 AFP】10代の頃、ムジャヒディン(聖戦士、Mujahideen)だったアブドル・カリム(Abdul Karim)さんは、アフガニスタンの山中でカラシニコフ銃をつかみ、寒さに震えながら、旧ソ連軍といてつく冬とどちらが先に死をもたらすだろうと考えていた。これが、ソ連軍を見た最後だった。

「その時、トランシーバー越しに(ムジャヒディンの司令官だった)アフマド・シャー・マスード(Ahmad Shah Massoud)の声が聞こえてきた。ロシア人たちが撤退したから、山から下りてよいとのことだった」。ソ連の赤軍(Red Army)を撃退した伝説のパンジシール渓谷(Panjshir Valley)で、カリムさんはAFPに語った。

 それから数年後の1989年2月15日、ソ連軍はアフガニスタンから完全に撤退した。ソ連軍の死者は約1万5000人で、その多くは過酷なパンジシールの山中で命を落とした。

 だが、ソ連軍撤退後の平和は長くは続かなかったという。アフガニスタンは破滅的な内戦へと突入し、若き戦闘員だったカリムさんは再び前線へ戻った。

 ソ連軍撤退から30年後の今、もう一つの侵略国、米国が、長期にわたったアフガニスタン紛争から手を引こうとしている。ソ連軍撤退後、血なまぐさい抗争を経験したアフガニスタンの人々は、混乱が繰り返されるのではないかと不安に思っている。