■食糞性コガネムシも窮地に

 地球の生物種全体の約3分の2を構成する昆虫は約4億年前に出現して以来、主要な生態系を支える基盤となってきた。しかし、「昆虫が多くの脊椎動物の餌としての重要な役割を担うことについては、忘れ去られていることが多い」と研究チームは指摘する。

 モグラやハリネズミ、アリクイ、そしてトカゲや両生類、大半のコウモリに鳥や魚の多くは、昆虫を常食とし、子を育てるために昆虫に依存している。

 しかし、減少傾向の昆虫種によってできた「穴」を別の昆虫が埋めること──バイオマスの急激な減少を補うこと──は不可能と思われると論文には記された。

 また、昆虫は世界最多の受粉媒介者でもある。カカオ、コーヒー、アーモンド、サクランボなどを含む世界の食用作物の上位115種の75%がこうした生物による花粉の媒介(動物媒)に依存している。

 しかし、ハナバチの場合では、局地的に6種に1種がすでに絶滅している。地中海沿岸地方の食糞(ふん)性コガネムシ類も大きな打撃を受けており、種全体の60%以上に個体数の減少傾向がみられるという。

 個体数の減少が確認されている昆虫分類群の割合については、英国が全体の60%で、次いで米国が51%、欧州全域が44%となっている。(c)AFP/Marlowe HOOD