【2月12日 AFP】オーストラリアで難民認定されながら2か月間もタイ当局に身柄を拘束されていたバーレーン出身のサッカー選手、ハキム・アライビ(Hakeem al-Araibi)氏(25)が12日、無事オーストラリアに帰国した。

 アライビ氏は昨年11月、ハネムーンでタイを訪れた際にバーレーン当局の要請によってタイ警察に拘束された。バーレーン政府が、中東地域の民主化運動「アラブの春(Arab Spring)」の抗議行動でアライビ氏に犯罪行為があったと主張し、同氏を強制送還するようタイ側に要請したためだ。

 だが、アライビ氏の拘束には国際的な非難が高まった。同氏もバーレーンに戻れば拷問を受けて殺される可能性があると訴え、サポーターらはアライビ氏の訴追は政治的な動機によるものだと反発していたところ、タイ当局が、バーレーン側からアライビ氏の送還要請取り下げがあったとして、同氏の解放手続きに入ったと明らかにしていた。

 アライビ氏はタイ国際航空(Thai Airways)465便の深夜便でメルボルン空港に到着。空港では、ハッシュタグ「#SAVEHAKEEM (ハキムを救え)」の文字をプリントしたTシャツを着た大勢のサポーターたちがサッカーの応援歌「ユール・ネバー・ウォーク・アローン(You’ll Never Walk Alone)」を合唱してアライビ氏を出迎えた。

 アライビ氏は「オーストラリアに感謝したい。ここが私の国だ」と笑顔で謝意を述べ、「まだ市民権は取得していないけれど、私の国はオーストラリアだ。オーストラリアで死ぬつもりだし、この国を愛している」と語った。

 アライビ氏の拘束問題はバーレーン、タイ、オーストラリア3国間の外交問題として長期化し、国際刑事警察機構(インターポール、InterpolICPO)の中立性や豪政府の難民保護令状を疑問視する声も上がっていた。(c)AFP