【2月17日 AFP】マダガスカル風ミートローフ、ラオス風ポークネック、レソト風チキンケバブ──セルビアの首都ベオグラードにあるレストラン「コルチャギン(Korcagin)」のメニューを決めるのは政治だ。ここでは毎週日曜、2008年にセルビアから一方的に独立を宣言したコソボを承認していない国の料理を提供している。

 ある日曜の夜、店をにぎわす家族連れは、肉が多いセルビア料理ではあまり見ることがないシーフード料理ブラックタイガーのオレンジソースがけに舌鼓を打つ。セルビアではあまり知られていない太平洋の島国パラオの代表的料理だ。パラオは先月、コソボの独立に対する承認を撤回した。

「今ではセルビアの誰もがパラオを知っているよ」と、レストランのオーナー、ボイン・クシッチ(Vojin Cucic)さん(29)は語る。

 アルバニア人が多数派を占めるコソボ州が、独立を求め起こったコソボ紛争(Kosovo War)から20年が過ぎた。隣り合わせるセルビアとコソボは今も、独立承認をめぐる攻防から抜け出せずにいる。

 2008年のコソボの独立宣言以来、米国や西欧の大部分を含め、コソボを承認した国は100か国を超えたが、国連加盟国193か国の半分をかろうじて上回っているだけだ。一方、承認していない国の中には、ロシアや中国といった大国が含まれている。