【2月10日 時事通信社】イランで1979年に親欧米路線のパーレビ王制が崩壊したイスラム革命から40年を迎えた。11日の革命記念日には、各地で集会や官製デモが予定される。しかし、トランプ米政権の制裁再発動でイラン経済は悪化の一途。厳しさを増す生活に苦しむ市民の多くは、国威発揚の機会と位置付けられる記念日を冷ややかに見詰めている。

 「革命40年なんて、どうでもいいことさ」。首都テヘランの名門テヘラン大でコンピューター工学を学ぶアミルさん(22)は吐き捨てる。「将来に希望を抱けない。自分の周りの学生の8割ぐらいはイランを離れたがっていると思う」と表情は暗い。私立大に通う女子学生サリナさん(20)も「若者の意見が尊重されず、格差も広がる現状には不満」と話す。

 イランでは78年、急激な近代化と専制的な政治を進めた王制に反発し暴動やデモが全土に波及。パリに亡命していたイスラム教シーア派指導者ホメイニ師(故人)が79年2月に帰国すると、市民の熱狂は最高潮に達した。今も街頭にはホメイニ師と後継の最高指導者ハメネイ師のポスターが至る所に掲げられているが、国家の前途に期待を抱いたあの頃の熱気は、今やほとんど感じられない。

 近年は物価高や生活難に抗議するデモが続発。タブーとされた革命指導部への批判も聞かれる。そのさなかに、イランを敵視するトランプ政権の制裁復活が追い打ち。通貨リアルの実勢レートは2018年初頭に1ドル=約4万2000リアルだったが今年1月には同約12万リアルに下がり、市民の忍耐も限界に近づく。

 ロウハニ大統領は1月下旬の演説で「イランは過去40年で最も厳しい制裁を受けているが、政府と国家体制の責任ではない」と強弁し、米国の強力な制裁が苦境の根源だと主張する。ただ、こうした姿勢も失望を招いているのが現実だ。テヘランの市場でペルシャじゅうたん店を経営するレザ・ナセリさん(50)は、原材料費の高騰や売り上げ減で収入が以前の10分の1に減ったと嘆く。「3月のノウルーズ(イランの新年)が近いのに客が来ない。商品が並ばない店先でサッカーができるなんてうんざりだ。40周年を祝うどころか、このままでは体制は来年までもたない」と政府を厳しく批判した。(c)時事通信社