【2月8日 AFP】(更新)タイのタクシン・シナワット(Thaksin Shinawatra)元首相派の政党、国家維持党(Thai Raksa Chart Party)は8日、3月24日の総選挙に向け、党の首相候補にワチラロンコン(Maha Vajiralongkorn)国王の姉、ウボンラット王女(Princess Ubolratana、67)を擁立すると発表した。王室からの出馬は異例で、政権維持を目指す軍事政権にとって打撃となりそうだ。

 国家維持党の党首は、「学識があり有能なウボンラット王女が(首相に)最もふさわしいとの考えで、党執行部は一致した」と記者団に述べた。

 国家維持党を指導するタクシン元首相は、クーデターで首相の座を追われ外国で亡命生活を送っており、10年以上に及ぶタイの政治混乱の中心人物。軍や首都バンコクのエリート層には嫌われている一方、地方の貧困層からは人気が高い。

 軍政政党も同日、プラユット・チャンオーチャー(Prayut Chan-O-Cha)首相の擁立を発表。これにより、選挙はウボンラット王女を擁立したタクシン派政党と軍政政党との直接対決の構図となった。

 プラユット首相は軍政を5年近く率い、その間には新憲法が公布・施行された。

 弟のワチラロンコン国王とは異なり、ウボンラット王女は華やかで外交的な面をのぞかせ、過去に米国人と結婚して王室の籍を離れた。離婚後はタイに帰国したが、今でも王室の一員とみなされている。タイで王室出身の首相が誕生すれば、専制君主制から立憲君主制に移行した1932年以来となる。(c)AFP