【2月10日 CNS】中国サッカー代表監督を務めたマルチェロ・リッピ(Marcello Lippi)氏(71)は1月30日早朝、荷物をまとめ静かに空港を後にした。この3年間、リッピは数えきれないほどイタリアと中国を行き来した。しかし、次の再会はいつになるかわからない。

 監督就任から退任までの3年間、リッピの中国代表チームの戦績は30戦10勝11敗9引き分け。すでにW杯(2018 World Cup)出場が絶望的となっていたアジア最終予選からの監督就任、その後の国際大会では惨敗続きと紆余(うよ)曲折はあったが、今年、1月5日に開幕したアジアカップ(2019 AFC Asian Cup)では、近年では最高の成績を残した。リッピの在任した829日は、中国サッカーファンに多くの幸せと、残念な思い出を残しただろう。

 2016年10月11日、アジア最終予選でウズベキスタンに3敗目を喫した当時の高洪波(Gao Hongbo)監督は記者会見で辞任を表明。4戦して3敗1分、中国チームのロシアW杯の可能性は絶望的で、リッピが監督を引き継いだのはそんな状況下だった。

 その1か月後、リッピ率いる中国はカタールと引き分け。次節の韓国戦では過去31度の対戦で1度しか勝てなかった相手に7年ぶりに勝利するなど、W杯への望みが絶たれながらも、多くの中国サッカーファンは泥沼のような状態だったチームへのいちるの望みを抱き、リッピの手腕を大きく称賛した。

 アジアカップ開催前の中国チームも、下馬評としてはあまり期待されていなかった。しかしチームは予選を突破し、トーナメント1回戦ではタイに逆転勝利を収めて準々決勝へ進出するなど、リッピは名将として恥じない手腕を見せたが、次節のイラン戦では0-3と敗れ、中国チームはベスト8で終了した。敗戦後、リッピ監督は会見上で自身の退任を発表している。