【2月5日 AFP】米国務省は4日、シリアで拘束されたイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の外国人戦闘員数百人について、各国に対して本国に帰還させるよう呼び掛けた。ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領がシリアからの米軍撤退を進めるなか、フランスや英国などの同盟国は難しい対応を迫られそうだ。

 外国人戦闘員はクルド人主体の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」によって拘束され、各国はこれまでその扱いについて検討してきた。SDFは米軍が撤退すれば、戦闘員を収容している施設を警備できなくなる恐れがあると警告している。

 米国務省のロバート・パラディーノ(Robert Palladino)副報道官は声明で「米国は各国に対して、SDFによって拘束された自国民を帰還させ、訴追するよう求める」と表明。SDFについては、外国人テロリストの戦闘員の出身国への帰還にたゆまず取り組んでいるとたたえた。

 パラディーノ副報道官は「イラクとシリアでISIS(ISの別称)が支配していた領域が解放されたにもかかわらず、ISISは依然としてテロの重大な脅威となっており、この世界共通の安全保障上の課題に対処するには共同の行動が不可欠だ」とも訴えた。

 別の米当局者は匿名を条件に記者団の取材に答え、クルド人勢力が支配するシリア北東部について情勢が「極めて流動的になっている」と認めた。その上で、シリアを離れたイスラム過激派が「世界各地にある、より自由に活動できるほかの場所に向かい、そこから戦いを進めようとするのではないか」と懸念を示した。(c)AFP