【2月1日 AFP】米国心臓協会(AHA)は1月31日、米国民の半数近くに心臓疾患があり、その数が過去数年で顕著に増加しているとする研究結果を発表した。主に、高血圧症の定義が新たに拡大されたことに起因する結果だという。

 AHAの学術誌「サーキュレーション(Circulation、循環)」に掲載された論文は、2016年の米国の成人1億2150万人に「何らかの循環器疾患があった」ことを明らかにしている。定義によれば、循環器疾患には冠状動脈性心臓病、心不全、脳卒中、高血圧症などが含まれる。

 AHAと米国心臓学会議(ACC)は2017年、高血圧の定義を血圧測定値の130(最高血圧)/80(最低血圧)mmHgに更新した。従来の定義は140/90 mmHgだった。

 この最新統計から高血圧症を除外した場合、循環器疾患を持つグループに分類される米成人は、全体の9%(2016年、2430万人)にとどまる。

 今回の発表についてAHAの会長で、米ウィスコンシン医科大学(Medical College of Wisconsin)循環器センターの所長を務めるアイバー・ベンジャミン(Ivor Benjamin)氏は、「心臓疾患と脳卒中の最も一般的で危険なリスク因子の一つである高血圧症がこれほど圧倒的多数存在することは、循環器疾患との闘いにおいて考慮から外すことはできない」との見解を示している。

 また「循環器疾患による死を考えたとき、高血圧を撲滅することは、女性のその他リスク因子すべてと男性の喫煙を除くリスク因子すべてを除外するよりも大きな影響を持つ可能性があることを、この研究は示している」とも述べた。

 心臓疾患は世界の死因第1位で、2016年の死者数は1760万人だった。2015年の1790万人からわずかに減少したが、米国では同じ時期、逆に増加している。

 論文には「米国の循環器疾患による死者数は、数十年間にわたる着実な減少の後に増加傾向に転じており、2015年の83万6546人から2016年には84万678人に増加した」と記された。

 AHAは、バランスの良い食事、運動、体重の維持、非喫煙といった健康的なライフスタイルを選択し、高血圧、糖尿病、高コレステロールなどを抑えることにより、循環器疾患の約80%を回避できると指摘している。(c)AFP