【2月1日 AFP】フランス国立管弦楽団(French National Orchestra)が、今月2日に開く演奏会でスイス出身のベテラン指揮者シャルル・デュトワ(Charles Dutoit)氏(82)を起用したことを受け、デュトワ氏からわいせつ行為を受けたと主張する元ソプラノ歌手が、同楽団を非難した。

 デュトワ氏については2017年、女性8人がセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)や性的暴行を受けたと名乗り出ていた。

 2日の演奏会では、ベルリオーズ(Berlioz)作曲「ファウストの劫罰(The Damnation of Faust)」の指揮を務める予定だったエマニュエル・クリビヌ(Emmanuel Krivine)氏が病気で降板したため、デュトワ氏が急きょ代役に起用された。

 だが、フランスの元ソプラノ歌手アン・ソフィー・シュミット(Anne-Sophie Schmidt)氏は、フランス国立管弦楽団の決定に裏切られた思いだと表明。「世界各地のアーティスト8人が勇気を出してデュトワ氏のセクハラを告発している中、同氏が起用されたことを非常に不快に感じる」と批判した。

 デュトワ氏に対しては、複数の主要楽団が関係を解消している。また同氏は2002年、「暴君」のような振る舞いで精神的虐待を加えられたとする団員の告発を受け、モントリオール交響楽団(OSM)の指揮者を辞任していた。

 デュトワ氏がOSMで指揮者を務めた25年間でのセクハラ疑惑については内部調査が行われたが、結論が出せないまま昨年11月に終了。デュトワ氏は一連の疑惑について、「ショッキング」なものだとして否定している。(c)AFP