【1月31日 AFP】20年来の寒さに見舞われ、各地で気温が氷点下20度以下まで下がっている米国。北極のような寒さをもたらした大寒波は、気候変動と関係があるのだろうか?

 専門家らは、その可能性を否定していない。ただ、今回の大寒波における地球温暖化の関与をめぐっては、議論の余地があるとも指摘している。

■極渦とは何か

 AFPの取材に応じたマイアミ大学(University of Miami)ローゼンスティール海洋大気科学部(Rosenstiel School of Marine and Atmospheric Science)のベン・カートマン(Ben Kirtman)教授(大気科学)は、「極渦とは北極を覆っている大量の冷たい空気の渦で、普段はジェット気流によって北極上空にとどまっている」と説明する。

 通常、この冷気は強い空気の流れであるジェット気流によって北極に閉じ込められているが、ジェット気流がうねったり弱まったりすると北極の外に流れ出る。

「極渦は蛇行することがある。今回の大寒波がまさにそうだ。うねる幅が大きくなると冷気が遠く離れた南方まで到達する」とカートマン氏は話す。

 気象専門テレビ、ウェザー・チャンネル(Weather Channel)が伝えたところによると、今週米国を襲った大寒波は、「中西部に20年ぶりの寒さをもたらし、各種の観測史上最低記録を塗り替えている」という。

■なぜジェット気流は蛇行するのか?

 ジェット気流は、熱帯と南極・北極の気温差に結びついており、気温差が開くほど強まる。理論上は、北極の冷気は北極にとどまっている可能性が高い。

 だが、ジェット気流が強くなり過ぎると不安定になることもあるという。これについてカートマン氏は、「不安定になるとジェット気流がうねり、蛇行が始まる」と説明した。

 一方で、南極・北極が温暖化の影響を受けると、熱帯との気温差が狭まり、ジェット気流がうねって冷気が北極から流れ出すという指摘もある。北極については、それ以外の地域に比べ、気温上昇が倍のペースで進んでいることが知られている。