【1月30日 AFP】米連邦捜査局(FBI)のクリストファー・レイ(Christopher Wray)長官は29日、上院情報特別委員会(Senate Select Committee on Intelligence)が開いた外国の脅威に関する公聴会で証言し、全米56か所のFBI地方事務所のほぼすべてで中国の経済スパイ活動を捜査していると明らかにした。

 レイ長官は、「米国に対する情報活動を行う中国は明らかに、われわれが直面している最も深刻な脅威だ」と述べ、中国のスパイ活動が米国のビジネスに与えている影響は深刻だと述べた。経済スパイ関連の捜査件数は過去3~4年で2倍に増えたとみられ、そのほとんどが中国と関連があるという。

 公聴会前日の28日、米司法省は中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ、Huawei)を米携帯電話大手Tモバイル(T-Mobile)から技術を盗んだ罪で起訴した。公聴会で証言したレイ氏ら各情報機関のトップは、中国は政治的、軍事的、経済的に米国にとって最も潜在的な脅威であり、その脅威レベルは増大していると述べた。

 米国防情報局(DIA)のロバート・アシュリー(Robert Ashley)長官は、「ファーウェイは、どういう形で中国政府に協力していくのか、それとも独立した企業として活動していくのか、方針を決める必要がある」「問題は、その決定権はファーウェイではなく、中国共産党や習近平(Xi Jinping)国家主席にあることだ」と証言した。

 29日に公表された「世界の脅威評価(Worldwide Threat Assessment)」年次報告書は、中国政府は、重要技術の独自開発が困難な場合は米国を標的としたスパイ活動や情報窃盗を行うだろうとの見方を示し、「中国の情報・防衛機関が、米国とその同盟国を狙った日常的かつ体系的なスパイ活動のプラットフォームとして中国のIT企業を利用する可能性を懸念している」とした。(c)AFP