【1月30日 AFP】米国のダン・コーツ(Dan Coats)国家情報長官は29日、年次報告書「世界の脅威評価(Worldwide Threat Assessment)」を発表し、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の指導者らが西側諸国への攻撃の呼び掛けを続ける中、ISは依然として中東地域の強い脅威であるとの見解を示した。

 コーツ長官は「ISIS(ISの別称)は指導者や支配地域を大きく失ったものの、依然としてイラクとシリアで数千人の戦闘員を運用し、8支部と12を超えるネットワーク、世界各地に分散した数千人の支持者を維持している」と指摘した。

 さらに同長官は、ISは両国での支配地域を「2、3の小さな村を残すのみ」にまで縮小させたと認める一方、連合軍からの圧力が弱まれば、それに付け込まれて攻撃や宣伝の能力を再建されるとの見方を示した。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は過去数か月、ISを打倒したと繰り返し主張しており、昨年12月にはそれを根拠としてシリアからの米軍撤退を突然発表した。

 発表後、ジェームズ・マティス(James Mattis)国防長官が撤収に異を唱えて辞任したほか、米国の安全保障専門家らは、力の空白地帯にIS戦闘員が進出することを許しかねないとして性急な撤収を思いとどまるよう強く促していた。

 イランに関し、トランプ大統領は昨年、同国が2015年の核合意に違反しているとして米国の合意離脱を宣言したが、報告はこれにも異論を表明。

 ジーナ・ハスペル(Gina Haspel)中央情報局(CIA)長官は上院情報特別委員会で、イランは今も核合意を順守していると証言した。(c)AFP