【1月29日 AFP】中国・北京に駐在するジャーナリストらで組織する駐華外国記者協会(FCCC)は29日、取材環境に関する年次報告書を発表し、外国人記者らは同国で身柄の拘束や査証(ビザ)発給の遅延、電話の盗聴といった問題にさらされており、監視や妨害の事例が数多く報告されるなど、取材環境の悪化が認められると指摘した。

 FCCCは、記者109人を対象に実施した調査の報告として「中国国内における昨年の取材環境は、直近で記憶する限り最も深い闇の様相を示した」と書いている。

 主な懸念事項の一つは監視で、半数以上が昨年尾行された経験があると答えた。携帯電話の安全性を心配する人は91%に上ったという。

 中国当局は、同国は「外界に対する開放」という基本方針を取っている以上、外国人記者らが取材する権利も守られており、事前に了承を得ていれば誰であっても取材できるとしている一方で、記者側は中国当局からの圧力が強まっていると報告している。

 FCCCによると、ビザの発給遅延を示唆されたケースも少なくないという。ニュースサイト「バズフィード(BuzzFeed)」の前中国支局長は、ビザの更新が認められず事実上の追放処分を受けた。

 ビザ更新の困難さは、自身の取材内容に関係している気がすると答えた記者は6人いた。産経新聞(Sankei Shimbun)の藤本欣也(Kinya Fujimoto)中国総局長をはじめ少なくとも4人に対しては、一般的な1年有効のビザが下りず、3か月または6か月有効の短期ビザが発給されたという。

 FCCC会長は「中国で報じるにはあまりに厄介、あるいは犠牲が大き過ぎると思われるニュースを、外国メディアさえも避けてしまう恐れがある」と危惧している。(c)AFP