【1月28日 AFP】韓国政府は28日、中国から飛来する汚染物質が原因だと韓国国内で非難が高まっている大気汚染の改善のため、飛行機を使って人工的に雨を降らせる実験を行ったが失敗したと発表した。

 韓国では大気汚染対策が喫緊の社会問題と化しており、政府は対応に苦慮している。通常は中国ほどひどくはない韓国の大気汚染状況だが、韓国語で「超微細粉塵(チョミセモンジ)」と呼ばれる微小粒子状物質(PM2.5)が季節風に乗って黄海(Yellow Sea)上空から飛んでくると、急激に悪化することがある。

 今月には3日間にわたって大気汚染レベルが急上昇し、多くの韓国人が中国のせいだと非難。こうした中、韓国気象庁(KMA)は25日、飛行機からヨウ化銀を散布して人工的に雨を降らせ、大気中のPM2.5を洗い流せるかを確認する実験を行った。

 しかし、KMAは28日、実験の初期分析の結果は残念なものだったと発表した。弱い霧雨が数分だけ確認されたものの、「有意な降水量は観測されなかった」という。

 一方でKMAは、「成功したか失敗したかはさておき、今回の実験は人工降雨の商業化に必要な技術を蓄積する機会となった」とも付け加えた。

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン、Moon Jae-in)大統領は先週、大気汚染問題を「自然災害」とみなして対処するよう政府に要請するとともに、「中国から飛来する超微細粉塵をめぐり国民に大きな懸念」があるとして中国政府との協力を強く求めた。(c)AFP