【1月25日 AFP】米連邦政府機関の一部閉鎖が1か月以上に及ぶ中、富豪のウィルバー・ロス(Wilbur Ross)米商務長官が24日、無給の生活が続く連邦職員がボランティアの食料配給に頼っているのは「なぜなのか全く理解できない」と発言し、金融機関のローンを利用すればいいと主張して批判を浴びている。

 対メキシコ国境壁の建設費を連邦予算に盛り込むかどうかをめぐるドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領と民主党の攻防に端を発する連邦政府機関の一部閉鎖は、34日目に突入した。給与支払いが滞っている連邦職員80万人の中には、ホームレス支援施設の食料配給で日々の食事をやりくりする人も出ている。

 米ニュース専門放送局CNBCのインタビューで、こうした状況を把握しているか問われたロス長官は「もちろん知っているが、なぜなのか全く理解できない」と答えた。

 ロス氏は、無給で働いている職員もいつかは未払い給与を受け取ると指摘。「職員らがそれ(未払い給料)を担保に借金してはいけないという理由は全くない」「給料か、何もなしかというのは、あまり妥当な発想ではない」と述べた。

 ロス氏は「困難な状況にある人たちについては、気の毒に思う」とも付け加えたが、一連の発言に、トランプ政権は政府閉鎖の及ぼしている影響を黙殺していると反発の声が上がっている。

 民主党のナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)下院議長は、「そんなことをすればその日暮らしになることを、彼らはまるで理解していない」と批判。「『(パンがなければ)ケーキを食べればいいじゃない』ということか」と記者団の前でロス氏の発言をやゆした。

 チャック・シューマー(Chuck Schumer)民主党上院院内総務も、「連邦職員を駒として扱うトランプ政権の冷淡な無関心さの表れ」だと非難。「ロス長官、株のブローカーにちょっと電話して持ち株を幾らか売るなどということは、彼ら(連邦職員)にはできないんだ。給与が必要なんだ」と述べた。

 批判は共和党内からも上がっている。ミット・ロムニー(Mitt Romney)上院議員は、「あのような発言が役に立つとは思わない」と一蹴。トランプ大統領も「たぶん違う言い方をするべきだった」と記者の質問に答え、無給のまま勤務する職員たちについて「私は彼らが大好きだ。尊敬している。素晴らしい仕事ぶりに本当に感謝している」と語った。

 トランプ政権高官が政府機関閉鎖に伴う連邦職員の待遇をめぐる発言で反感を買うのは、これが初めてではない。

 大統領経済諮問委員会(CEA)のケビン・ハセット(Kevin Hassett)委員長は今月、公共放送PBSのニュース番組「ニュースアワー(NewsHour)」で、政府閉鎖で一時帰休を強いられている連邦職員について「仕事に行かなくてもよい」「つまり、休暇を得たわけだ」と発言。「そして復職すれば、彼らは未払い給与を手にする。いっそう暮らし向きが良くなるようなものだ」と述べ、非難を浴びていた。(c)AFP/Chris Lefkow