【1月24日 AFP】仏パリで20日、舞台上の俳優も観客席の人々も皆が全裸という劇が上演された。パリ市内の著名劇場で全裸劇が行われたのは、これが初めてで、上演はこの日の1回限り。降雪予報も出るほど寒さの厳しい夜に全裸とは質の悪い冗談のようだが、訪れたヌーディスト(裸体主義者)たちはご満悦だった。

 上演されたのは、姉と弟が社会問題について意見を交わすが、ことごとく対立する様子をちゃかしたコメディー「Nu et approuve(脱げば承認)」。フランスの公文書の決まり文句をもじったタイトルだ。鑑賞にあたっては、衣服を全て脱ぐことと、衛生上の理由によりタオルを持参することが条件。劇場は、その名も「パレ・デ・グラセ(氷の宮殿、Palais des Glaces)」だが、観客たちは凍り付きそうな劇場名にも怖じ気づくことなく暖かい冬服を脱ぎ捨てて劇を楽しんだ。

 観劇を終えた全裸の観客たちは一様に満足した様子で、中年の女性観客はAFPに「心から楽しめた」と語った。一方、ヌーディスト団体の代表だという男性は、自分たちのライフスタイルやニーズについて語り合う重要な機会だと語る。「自分自身であるためには社会規範を破って、このような場所で楽しい時を過ごすことが必要なんだ」(c)AFP