【1月24日 AFP】カナダのジョン・マッカラム(John McCallum)駐中国カナダ大使は、米国の要請を受けて先月カナダで逮捕された中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ、Huawei)の孟晩舟(Meng Wanzhou)最高財務責任者(CFO)について、米国への身柄引き渡しに反対する「強い論拠」があるとの見解を示した。野党からは政治干渉だと批判の声が上がっている。

 発言は22日、マッカラム氏が中国で拘束されたカナダ人2人と死刑を言い渡されたカナダ人1人についてカナダ議会で説明した後、カナダ国内で開いた記者会見で中国語メディアに行ったもの。23日の報道で明らかになった。

 マッカラム氏はその中で、米国の引き渡し要請には重大な欠陥があると指摘。ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の発言による政治介入がある点、法律の域外適用という側面がある点、孟氏にかけられているのはイラン制裁に絡む嫌疑だが、カナダはイラン制裁に署名していないという点を理由に「孟氏には裁判官の前で主張できる強い論拠があると思う」と述べた。

 トランプ大統領は先月、ロイター通信(Reuters)のインタビューで、中国との通商協定をまとめるのに役立つのであれば孟容疑者の件に介入する可能性があると語っていた。

 ジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相は23日、マッカラム氏の発言について問われ、司法案件には干渉しないという政府の立場を重ねて表明。「法の支配が適切かつ完全に守られるようにする。それにはもちろん、(孟容疑者)が強い論拠を示すことも含まれる」と語った。

 一方、野党・保守党からは、マッカラム氏の発言には「政治干渉の可能性」があり、引き渡しのプロセスの信頼性を損ねるものだと批判する声が出ている。(c)AFP