【1月23日 AFP】メキシコ国境での壁建設予算をめぐる与野党の対立で、政府機関が一部閉鎖に追い込まれている米国──。問題は長期化しており、一部閉鎖は22日で2か月目に突入した。国の経済と米国民の士気に重くのしかかる危機的状況だが、今後すぐに解決する見通しは立っていない。

 不法移民阻止を目的とした壁建設予算をめぐる対立により、政府機関の4分の1は昨年12月22日からまひ状態となっている。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が承認を拒否しているのは、2016年の大統領選挙戦での自身の基本公約である壁建設のための57億ドル(約6200億円)が含まれていない予算案だ。

 壁について民主党は、「道徳的」でなく、費用がかさむだけで効果も期待できないと反対しており、この問題を議論する前に政府機関を再開すべきと主張している。

 こうした行き詰った状況の打開を目指し、トランプ大統領は19日、妥協案を提示した。それは、大統領の求める57億ドルの予算と引き換えに、強制送還予定の不法移民約百万人を一時的に保護するという内容だった。しかし民主党は、この提案を受け入れなかった。

■目に見える影響

 米ミシガン大学(University of Michigan)の調査によると、政府機関の閉鎖で直接的な影響を受ける労働力は全体の0.5%にとどまっているが、間接的な影響が消費者の多くにも及び始めているという。専門家らも、経済成長が世界的に低迷しているなかで起きた政府機関の閉鎖によって、世界最大の経済国が圧迫されつつあると指摘している。

 国土安全保障省や運輸省、国務省など、より慎重な対応が求められるケースでは、閉鎖の影響を受ける職員の数が最低限となるよう調整がなされてきた。しかし、他では閉鎖の影響がはっきりと見て取れる。国立公園では警備員が不在となり、博物館も多数閉鎖された。一部空港のセキュリティチェックポイントも例外ではない。

 米連邦捜査局(FBI)の捜査官や科学者、食品検査官といった連邦政府職員約80万人は、日々の生活費を工面しながら、自宅待機や無給での労働を強いられている。

 こうした状況について、米沿岸警備隊のカール・シュルツ(Karl Schultz)長官は21日、ツイッター(Twitter)への書き込みで、「#USCGの隊員は、米国の国易を守るべく世界中を航海中だが、国に残っている家族は厳しい家計と無給に耐えている」と述べた。