【1月23日 AFP】メキシコ国境での壁建設予算をめぐるドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領と民主党の攻防による政府機関の一部閉鎖は、22日で過去最長となる32日目に突入した。トランプ氏は、同氏の軟化を期待している民主党に対し「絶対に屈服しない!」と強調した。

 トランプ氏はまたしてもツイッター(Twitter)に挑発的なコメントを投稿し、この混乱を招いた責任は下院過半数を占める民主党にあると批判。米メキシコ国境の壁の拡張費用57億ドル(約6250億円)を承認しない限り、政府機関の一部閉鎖を解除するつもりはないと主張した。

 さらに「壁がなければ、わが国が国境や国家安全保障を手にすることはあり得ない。強固な壁か鋼鉄のバリアがあれば、犯罪率(とドラッグ)は全米で大幅に減少するだろう」「民主党はこのことを分かっているにもかかわらず、政治的駆け引きをしようとしている」とツイートした。

 昨年12月22日、トランプ氏は下院民主党に壁予算を支持するよう圧力をかけるため、連邦捜査局(FBI)の給与から国立公園局(National Park Service)に至るまで、あらゆる予算への署名を拒否。これをきっかけに政府機関の一部閉鎖が始まった。民主党も譲らない中、トランプ氏は強硬な戦術に固執。中央政治の停滞は日を追うごとに痛みとなって全米に広がっている。

 攻防の巻き添えになっているのは、給与が未払いとなっている連邦職員約80万人とそれ以上の数の請負業者で、未払いはついに2か月目に突入する。常勤職員は最終的には未払い給与を手にするが、その間にも住宅ローンなど月々支払わなければならない出費がある。請負業者に至っては、逸失利益を受け取ることさえできないだろう。

 上院は今週、理論上はこうしたこう着状態を打破するはずの2法案の採決を行う予定だが、可決される見込みはほとんどない。(c)AFP/Sebastian Smith