【1月21日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は20日、メキシコ国境での壁建設予算をめぐる与野党対立で政府機関が一部閉鎖に追い込まれている問題で、閉鎖解消に向けた新たな提案を拒否した野党・民主党のナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)下院議長を激しく非難した。一方のペロシ氏も、壁建設をめぐる協議を始める前に政府機関の閉鎖を終わらせることを改めて要求。ただ、ここへ来て事態の打開に向けた兆しも出てきた。

 トランプ氏は前日、壁建設費用として57億ドル(約6300億円)を予算に計上することと引き換えに、100万人規模の不法移民を対象に一時的な保護を延長することを提案した。しかし、ペロシ氏は「話にならない」と一蹴していた。

 トランプ氏は20日、ツイッター(Twitter)に「ナンシー・ペロシはあまりにも無分別に行動している。左傾化に拍車がかかり、今ではあからさまな急進的民主党員になってしまった」「彼女は党内の『左派』によって身動きが取れなくなり、党をコントロールできなくなっている」と投稿した。

 このツイートは、政府機関の閉鎖が始まって以降、トランプ氏がペロシ氏に行った批判としては最も直接的なもので、トランプ氏が不満を募らせていることがうかがえる。

 これに対し、ペロシ氏はツイッターで、トランプ氏からの攻撃をあからさまに無視しつつ、行き詰まった現状を打破する必要があると強調している。

 ただ、ここへ来て与野党が歩み寄る兆しもある。ペロシ氏をはじめとする民主党側はトランプ氏の提案を拒絶したが、共和党側は同案を事態打開に向けた大統領の具体的な動きだとみている。

 政権側で議会との折衝を主導しているマイク・ペンス(Mike Pence)副大統領(上院議長)は20日、FOXニュース(Fox News)の番組で、22日にも上院でトランプ氏の案を採決にかけると表明。同案は「誠実な妥協案」だとし、「実際のところ、トランプ大統領がやったことはディール(取引)に向けたお膳立てだ」と語った。(c)AFP/Brian KNOWLTON