【1月20日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は19日、メキシコ国境の壁の建設費の予算計上を連邦議会が認めれば、百万人規模の移民の強制送還を猶予することを新たに提案した。野党民主党はこれを拒否し、米政府機関の一部閉鎖は続く見通しが強まった。

 主要政府機関の多くは資金凍結に伴い、無給の職員や、通常より大幅に少ない人数の職員に業務を依存している。トランプ氏は新たな提案を示すことで、この日29日目を迎えた政府機関閉鎖の解除に先手を打とうとした。

 トランプ氏はホワイトハウス(White House)で行ったテレビ演説で、2種類の移民を強制送還から守る「アメ」を提示した。対象は幼少時に親と不法入国した通称「ドリーマー(Dreamers)」70万人と、一時保護資格(TPS)の失効が近い30万人としている。

 トランプ氏は見返りとして、国境の壁建設に57億ドル(約6300億円)の予算を計上するよう引き続き要求した。この要求は民主党に繰り返し拒否され、トランプ氏は意趣返しの形で幅広い政府機関の予算を承認せず、政府機関を閉鎖に追い込んだ。

 トランプ氏は入国地点における警備を強化するため、「緊急人道支援費」として8億ドル(約880億円)、薬物検査の技術費として8億500万ドル(約884億円)も併せて要求した。

 民主党の顔としてトランプ氏と対峙(たいじ)しているナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)下院議長は、今回のトランプ氏の提案について「以前拒否された数件の提案の寄せ集めで、個別でも受け入れられず、全体的に見ても、人々の生活に確実性を取り戻す善意の取り組みを表していない」と述べ、「役に立つものではない」と明言した。(c)AFP/Sebastian Smith