【1月19日 AFP】イタリア・セリエAのナポリ(SSC Napoli)は、セネガル人DFのカリドゥ・クリバリ(Kalidou Koulibaly)の2試合出場停止処分に対する異議申し立てについて、同国サッカー連盟(FIGC)の控訴裁判機関が棄却の判断を下したことは、「人種差別と闘う絶好の機会を逸するものである」と猛反発している。

 フランス出身のクリバリは、先月26日に敵地サン・シーロ・スタジアム(San Siro stadium)でナポリがインテル(Inter Milan)に0-1で敗れた一戦で、インテルファンからモンキーチャント(猿の鳴きまね)を浴びせられた後、審判のパオロ・マッツォレーニ(Paolo Mazzoleni)氏をあざ笑うような拍手をしたとして退場処分になった。

 しかし、FIGCの控訴裁判機関は18日、人種差別的な扱いを受けたことを理由に「攻撃的な行為を正当化するような」先例をつくることは望ましくないという見解を示し、「当該試合中にスタジアム内で醸し出された容認できない雰囲気は、アスリートが審判を侮辱することを許す理由にはならず、そのことに正当性を見いだすことはできない」と述べた。

 27歳のクリバリは、ナポリが2-0で勝利した先月29日のボローニャ(Bologna FC)戦をすでに欠場しており、今週末のラツィオ(SS Lazio)戦も出場しない見通しとなっている。

 ナポリは広報担当者のニコラ・ロンバルド(Nicola Lombardo)氏を通じてコメント文を発表し、「われわれの申し立てが棄却されたのは、サッカー界にとって大きな敗北である」「欧州サッカー連盟(UEFA)が以前から推し進め、ナポリも長年にわたって支持している人種差別との闘いが、ないがしろにされている」と主張した。

「スタジアム内では人種差別などは一切なく、黒人をはじめナポリの人々やユダヤ人を差別しているのは一部の人間にすぎないと言い張っている人々にとっても、これは敗北だ」「クリバリ、サッカー界、関連機関、そして今回の問題の関係者全員が屈辱を覚えている。クリバリの処分撤回は、規則や形式にとらわれるものでなく理にかなうものであるべきだった」 (c)AFP