【1月25日 AFP】国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の特別委員会は18日、再生可能エネルギーの急成長と化石燃料の終焉(しゅうえん)により、国際政治に大きな変化が起きているとする報告を発表した。

 委員会は、エネルギー源の移行により「世界の勢力図、国家間の関係、衝突リスク、地政学的不安定性を高める社会・経済・環境要因が変化する」と指摘。また、太陽や風力などの再生可能エネルギーは現在、世界のエネルギー生産の約5分の1を占め、他のエネルギー源よりも急速に成長しているとした。

 委員長を務めるオーラブル・ラグナル・グリムソン(Olafur Ragnar Grimsson)アイスランド前大統領は、移行の結果、中国が台頭して米国の影響力が弱まるほか、石油に依存する湾岸諸国がリスクにさらされ、貧しいアフリカ諸国のエネルギー面での自立が促されるとの見方を示した。

 この報告は「A New World(新たな世界)」と題し、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで開かれたIRENAの第9回総会で発表された。

 報告は「新たな技術とコストの低下により化石燃料から再生可能エネルギーへの移行が加速する中、再生可能エネルギーの競争力は従来のエネルギー源にますます近づいている」と指摘。2009年比で太陽エネルギーによる発電コストは75%下がり、風力発電タービンの価格は半減したと説明している。

 IRENAのアドナン・アミン(Adnan Amin)事務局長は同機関による分析の結果として、「2020年までに、商用の再生可能技術はすべて、価格面で化石燃料に並ぶか、化石燃料を下回る」と述べた。

 ほかにも報告は、化石燃料の輸出に大きく依存している国々は、「経済への深刻な影響」を避けるため、変化に適応する必要があると警告。

 その一方、再生可能エネルギーはエネルギー供給の分散を可能にするため、強力な民主化の手段になるとした。(c)AFP