【1月19日 AFP】2016年にロシアによる国家ぐるみのドーピング問題を暴露したリチャード・マクラーレン(Richard McLaren)氏は18日、ロシア・モスクワの研究所から回収したばかりのデータには、「数百件」に及ぶドーピング違反が含まれているという見解を示した。カナダ出身の弁護士である同氏は現在、問題の調査には関与していない。

 世界反ドーピング機関(WADA)は17日、ロシアによる不正行為の中枢を担っていたモスクワの反ドーピング研究所から、データの「回収に成功した」ことを明らかにした。

 マクラーレン氏は、新しいデータの全容が判明した際に何件のドーピング違反があると予想されるかとの質問に、「数字に関しては、とにかく想像するしかない」「私の見解では、300~600件の範囲に上るだろう」と答えた。

 WADAは、ロシアの選手が2016年リオデジャネイロ五輪と2018年平昌冬季五輪で除外されることになった、2011年から2015年にかけてのスキャンダルに関して調査を完了させるため、データの提出を要求していた。

 昨年9月にWADAはロシアを復帰させるための足がかりとして、同国反ドーピング機関(RUSADA)に科していた資格停止処分を条件付きで解除。その条件の一つとして、2018年中に同研究所のデータを提出することを挙げていた。

 しかし、WADAが先月にロシアを訪れた際、データ回収に使用しようとしていた機器に関して、ロシア当局から同国の法律で認められないものであるとの指摘があり、年内の期日は守られなかった。

 マクラーレン氏はドイツ公共放送ARDに対して、「振り返って考えてみると不可解だ。昨年12月には情報提供の準備が整っていなかったことが、約10日後の今年1月には可能になった」「データ回収の際に起きたことはWADAには無関係であり、ロシアにおいて権力闘争があったせいだと考えている」と述べた。

「それがクリスマスをまたいで解決され、現在は情報提供の準備が整ったためプロセスが進んでいるのだろう」

 WADAは今後、データの信ぴょう性を確認して内容を検証することになっており、マクラーレン氏は「データが完全で本物であることを望んでいる」「一部のデータに関しては、詳しい照合に加えて多くの段階を踏んだ上で本物か見極めていく必要がある。それは数日では終わらず、2~3週間はかかるだろう」と述べた。(c)AFP