【1月20日 AFP】地球温暖化の影響で、広範にわたる永久凍土の溶解が懸念されている。永久凍土は数十億トンに上る温室効果ガスを内包しているが、溶解によりそれらが大気中に放出されるだけではなく、長年氷に閉じ込められてきた病原菌なども解き放たれる恐れがあるとして、科学者らは警告している。

■北半球の陸地の4分の1
 永久凍土とは、凍結した状態の土壌を指すが、その名とは異なり必ずしも「永久」に凍結しているわけではない。大部分は北半球に存在し、その陸地の約4分の1を覆っている。通常は何千年も前から凍ったままで、深さは数メートルから100メートルまでさまざまだ。

 永久凍土は、米アラスカ、カナダ、欧州北部、ロシアをまたぐ北極圏と北方林地帯に広がっている。北半球ほどの規模ではないが、南半球でも南米アンデス(Andes)山脈と南極大陸に存在する。

■大気中のほぼ2倍の炭素
 永久凍土には、凍った大昔の植物や動物の死骸という有機物の形で、推定1兆7000億トンもの炭素が閉じ込められている。

 永久凍土が解けると、有機物が温められ、分解され、最終的に温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)とメタンとして放出される。永久凍土は大気のほぼ2倍の炭素を保持しており、その大部分をメタンとCO2が占めている。

■温暖化の悪循環
 永久凍土の溶解による温室効果ガスの放出は、2015年に結ばれた地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」で決定された、世界の気温上昇幅を産業革命以前と比べて1.5度に抑えるという努力目標を危うくするものだ。

 CO2は地球温暖化の最大要因とされているが、メタンの温室効果はCO2の25倍もある。永久凍土の温室効果ガスが大気中に放出されると、地球温暖化が悪化し、氷が解け、さらに永久凍土の溶解が進み、地球温暖化の悪循環に陥ってしまう恐れがある。

 米マサチューセッツ州ウッズホール研究センター(Woods Hole Research Center)のスーザン・ナタリ(Susan Natali)研究員は2015年、たとえ地球温暖化が2度前後の上昇に落ち着いたとしても、2100年までには永久凍土の30%が失われると指摘している。

 ナタリ氏は研究で、温室効果ガスの排出が現在のペースで続けば、永久凍土の最大70%が失われる恐れがあると指摘し、「永久凍土からの(温室効果ガスの)排出により、地球温暖化がコントロールできない状況に陥ってしまう可能性がある」と警告した。