【1月18日 AFP】カザフスタンの裁判所は17日、2014年ソチ冬季五輪のフィギュアスケート男子シングルで銅メダルを獲得した同国出身のデニス・テン(Denis Ten)さん殺害の罪に問われた被告2人に対し、禁錮18年の判決を言い渡した。しかし、テンさんの遺族はこれを不服としており、殺害が依頼されたもので「別の人物が関与」していると訴えた。

 かつて旧ソ連の政権下に置かれていたカザフスタンは、昨年7月に国民的英雄のテンさんが25歳で命を落とした事件で深い悲しみに包まれた。検察によると、テンさんは大腿(だいたい)動脈を2度刺されており、搬送先の病院で亡くなった。

 同国最大の都市であるアルマトイ(Almaty)の裁判所は、アルマン・クーダベゲノフ(Arman Kudaibergenov)とヌラリ・キヤソフ(Nuraly Kiyasov)の両被告に対し、車のミラーを盗もうとした際に韓国系スケーターのテンさんを殺害したとして有罪判決を下した。

 年齢が20代とされている被告の男2人に対して、検察側は禁錮20年を求刑していたが、両被告は殺意に関しては否定していた。また、検察側から事件を当局に通報しなかったとして起訴された女1人にも、禁錮4月が言い渡された。

■「何かふに落ちない」

 しかしながら、殺されたテンさんの遺族は捜査内容に不服を唱えており、弁護士は殺人があらかじめ計画されたものであると主張している。弁護士はAFPの取材に対し、テンさんはアルマトイ中心部に「おびき寄せ」られて白昼堂々と殺されたと遺族が確信していると述べた。

 弁護士は「少なくとも5人の人間が、彼(テンさん)がそこに来ることを知っていた」「(テンさんの母親は)何かふに落ちないと感じていた。矛盾があった。この事件を依頼された際に、私は(事件の関係証拠)35点の調査を開始し、(殺人が)依頼されたものであると裏づける多くの証拠を見つけた」とコメント。さらなる捜査を求めて、事件を検察当局に差し戻すように裁判所に訴えたことも明らかにした。(c)AFP/Christopher RICKLETON、Aleksandr Platonov