【1月16日 AFP】家族から虐待を受けているとして逃げ出し、カナダに亡命したサウジアラビア人女性のラハフ・ムハンマド・クヌン(Rahaf Mohammed al-Qunun)さん(18)が15日、カナダ到着後初めて記者会見を開き、他の女性の自由のために闘う決意を語った。

 クヌンさんは用意したアラビア語の声明を読み上げ、「自分がカナダに着いた最初の日に体験したのと同じ自由」を世界中の女性が享受できるよう、力を尽くしていくと述べた。

 クヌンさんは家族から身体的・精神的な虐待を受けているとして旅行中に逃亡。当初はオーストラリアへの亡命を希望していたが、乗り継ぎで経由したタイの入国管理当局によって足止めされた。

 その際、クヌンさんが空港ホテルの部屋から支援を求めたツイッター(Twitter)への投稿に世界が注目。「#SaveRahaf(ラハフを救え)」のハッシュタグで運動となって広がり、クヌンさんは国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の保護下に置かれた。

 カナダから難民認定を受けたクヌンさんは、12日にトロントに入り、クリスティア・フリーランド(Chrystia Freeland)外相に温かく出迎えられた。

 クヌンさんは会見で、サウジアラビアの女性が置かれている男性親族による厳しい後見人制度を非難。自己の経験を振り返り、「家族から大事に扱われたことがない。私らしく、私がこうありたいと思う自分でいることを許されたことがない」と述べ、「サウジアラビアでは、理解のある両親を持つ場合を除いて、これが全ての女性に当てはまる。女性は独立することができず、何もかも男性後見人の承認を要する」と訴えた。

 人権団体は、クヌンさんがイスラム教を放棄したことから、祖国で刑罰に処される恐れがあると懸念を示している。

 前日14日にはクヌンさんはカナダ公共放送CBCの取材に応じ、家庭内で「身体的暴力を受け、迫害され、抑圧され、殺すと脅された。6か月間監禁もされた」と明かし、「サウジアラビアに住んでいる限り、自分の夢をかなえることはできないと感じていた」と語った。

 さらに「最も恐れているのは、家族が私を見つけたら私は消えるだろうということ。その後、自分の身に何が起こるか分からない」と不安を口にしていた。

 クヌンさんは、カナダに着いた今は旅行も結婚も「自分で決める」ことができると喜び、「カナダに住む若い女性が皆そうしているように、私も普通の生活を始めたい」と話している。(c)AFP/Cole BURSTON