【1月17日 Xinhua News】月の裏側に着陸した中国の月探査機「嫦娥4号」に搭載された生物科学実験に関する積み荷のうち、綿花の種がこのほど、発芽に成功した。これは人類が初めて月面で発芽させた植物であり、人類初の月面での生物育成実験となった。同実験プロジェクトの責任者が15日に明らかにした。

 今回の重慶大学が主導する生物科学の普及を目的とした実験のために嫦娥4号に搭載された積み荷は、綿花のほか、アブラナとジャガイモ、シロイヌナズナ、酵母、ショウジョウバエの6種の動植物。ミニ生態系を形成しており、密封された缶に入れられている。缶は特殊なアルミニウム合金素材でできており、直径173ミリ、高さ198.3ミリ、総重量2.608キロ。動植物が成長できる空間の容量は1リットルほどとなっている。

 高真空、激しい温度差、強い放射線など、月面上の苛酷な環境に耐えて積み荷が送ってきた画像を見ると、綿花が見事に発芽していた。12日午後8時、最後の1枚の実験画像からは、積み荷内の新芽の良好な生育状況がわかる。実験終了前までに送られてきたデータからほかの動植物が生育しているとの状況は観測できなかったという。

 実験は9日間行われ、月の裏側は夜の周期に入った。現在、関連の積み荷は電源を切った状態で、積まれた6種の動植物は今回の実験の使命を終え、冷凍状態にある。翌月昼の周期に入り気温が上昇した後に、これらの動植物はゆっくりと無害の有機物に分解され、同実験の積み荷内部に永久に密封保存される。(c)Xinhua News/AFPBB News