【1月16日 AFP】米プロバスケットボール(NBA)のニューヨーク・ニックス(New York Knicks)に所属し、身の安全に対する懸念から、チームの英ロンドン遠征同行を辞退しているトルコ人センターのエネス・カンター(Enes Kanter)が、米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)のコラムでまたしてもレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領を批判した。

 エルドアン大統領を批判したことが原因で、殺害予告も受けているというカンターは、大統領側に身柄を拘束されたり、殺されたりすることを恐れ、17日に行われるワシントン・ウィザーズ(Washington Wizards)戦に向けたチームの英国遠征に同行していない。

 その中で26歳の長身センターは、ワシントン・ポスト紙のウェブサイトにオピニオンエッセーを寄稿し、「大統領に異を唱える人は皆標的になる。自分も間違いなくそうだ。そして大統領は僕をトルコへ連行し、そこで消そうとしている」とつづった。

 大統領批判をする暇があったら「黙ってバスケに集中しろ」という意見もよく耳に入るという。しかしカンターは、元ナショナルフットボール(NFL)のコリン・キャパニック(Colin Kaepernick)の哲学の方に共感を抱いている。NFLのスター選手だったキャパニックは、黒人差別と社会の不正義に対する抗議として、試合前の国歌演奏時に膝をつく運動を始めた。

 カンターは「アドバイスなら、コリン・キャパニックのナイキ(Nike)の広告キャンペーンの方が好みだ。『何かを信じろ。たとえすべてを犠牲にしなくてはならなくても』というね」と記している。

 カンターの話では、エルドアン大統領は「自身に批判的な人を国外で捕らえる手段」として、国際刑事警察機構(インターポール、InterpolICPO)を利用することがあり、米国の市民権やパスポート(旅券)を持たないカンターもそれを恐れている。「海外渡航のリスクは犯せない。できたとしても、今週の英国遠征は無理だ。行けばトルコの工作員に簡単に捕まって殺されてしまう」とカンターは記した。(c)AFP