【1月16日 AFP】背びれがない、恥ずかしがりの小型イルカ「スナメリ」の姿を見るのは、ますます難しくなってきている。スナメリは、中国最長の川、長江(揚子江、Yangtze River)に残された唯一の水生哺乳類で、常にほほ笑んでいるように見えることから中国では「ほほ笑む天使」として知られている。

 中国政府の推定によると、2017年の長江に生息する野生のスナメリの個体数は1012頭で、絶滅危惧種から外されたジャイアントパンダの1800頭超を下回っている。

 だが、研究者らは希望の光を見いだしている。

 スナメリの個体数は、2006年から2012年の間に推定1040頭にまで半減した。だが、それ以降は減少ペースが大きく緩和されており、保護対策がわずかだが成果を上げていることを示唆している。

 交通の激しい長江から離れた複数の保護区域に移送することが、スナメリの保護対策の中心となっている。

 湖北(Hubei)省天鵝洲麋鹿自然保護区(Tianezhou Oxbow Nature Reserve)には、長江とつながっている湖があり、1990年代初めに30~40頭のスナメリが移送されてきた。現在その数は約80頭にまで増えている。

 研究者らは、環境汚染と過剰な漁獲に対する取り締まり、人工繁殖、国内中間層における環境意識の高まりなどが、スナメリの個体数増加に寄与したと指摘する。

 世界自然保護基金(WWF)のスナメリ保護プログラムのプロジェクトマネジャー、チャン・シンチャオ(Zhang Xinqiao)氏は、「国民の声と国民による監視が重要な役割を果たしている」と語る。