【1月14日 AFP】ドイツの極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は13日、今年5月の欧州議会選をめぐり、同党が欧州連合(EU)に求める改革が受け入れられなければ最終的にドイツのEU離脱「デグジット、Dexit」も辞さないとする案をマニフェスト(政権公約)に盛り込むことを決めた。戦後ドイツで政党が公約でEU離脱の可能性に踏み込んだのは初めて。

 AfDはこの日、牙城とする東部ザクセン(Saxony)州リーザ(Riesa)で党大会を開催。賛成多数でデグジット案の採用を決めた。ただ、国民の大多数がドイツのEU残留を支持していることも意識して、抜本的な改革によってEUが「適切な時間枠の間に」変わらない場合の「最終手段」としてのみ、デグジットを求めるという配慮も示した。

 ドイツにとってEU加盟国という地位は、米国との同盟と並んでナショナル・アイデンティティーの重要な要素となっている。また、ドイツがナチス・ドイツ(Nazi)の過去と距離を置きつつ、国益を守るための方策にもなっている。

 歴史学者のクラウスペーター・ジック(Klaus-Peter Sick)氏は、AfDはそれと対照的に、政治議論における「ドイツ・ナショナリストの立場」を復活させようとしていると指摘した。

 英国では、EU側と取りまとめた離脱(ブレグジット、Brexit)協定案の議会採決が15日に予定されている。(c)AFP