【1月12日 AFP】ハンガリーの裁判所は11日、対セルビア国境で2015年に発生した暴動に関与したとして拘束されたシリア人男性が、来週釈放されると明らかにした。ハンガリー政府はこの男性の拘束をめぐり、強引な移民取り締まり手法を批判されてきた。

 釈放されるのはアハメド・ハメド(Ahmed Hamed)被告。国営ハンガリー通信(MTI)によると、同国東部ニーレジハーザ(Nyiregyhaza)の裁判所の報道官は、同被告は19日に仮釈放された後、国外退去処分となると述べた。

 ハメド被告は2015月9月、ハンガリー東部ロスケ(Roszke)の国境検問所を開放させるため拡声器で暴動を扇動したほか、警官に石を投げたとされている。

 この衝突は、欧州の移民危機が最高潮に達していた時期に発生したもの。前日には、強硬な反移民政策を取るハンガリーのオルバン・ビクトル(Orban Viktor)政権が国境を有刺鉄線付きのフェンスで封鎖していた。

 衝突では、移民数十人がフェンスを越えてハンガリー入りを試みる一方、治安部隊が移民らをセルビア側に押し戻すため催涙ガスと放水銃を使用。検察によれば、警官15人前後と、子どもを含む移民100〜150人が負傷した。

 ハメド被告は警官に石を投げたことは認めたものの、自身はテロリストではないと主張。しかし2016年11月、テロ対策関連の法規に基づき禁錮10年の有罪判決を言い渡された。

 裁判所は後に、証拠不十分としてこの判決を棄却。昨年9月の再審を経て、禁錮5年のうち3分の2に相当する期間の収監と国外退去処分を命じた。被告は勾留によって、この命令の収監期間をすでに消化していた。

 同被告は衝突までの約10年間、欧州連合(EU)加盟国のキプロスに住んでいた。(c)AFP