【1月12日 AFP】日産自動車(Nissan Motor)での一連の不正行為で逮捕・起訴されたカルロス・ゴーン(Carlos Ghosn)前会長が、仏自動車大手ルノー(Renault)の幹部に対する追加報酬の支払いを承認していたとの新たな疑惑が浮上したことを受け、ルノーは11日、日産との連合をめぐる「不安定化工作」を非難した。

 追加報酬を受け取ったとされるのは、ゴーン被告の側近でルノー執行副社長(法務・広報担当)のムナ・セペリ(Mouna Sepehri)氏。イラン生まれのフランス人弁護士であるセペリ氏は、1999年のルノー・日産間の提携締結に向けた交渉でゴーン被告を補佐した。AFPが取得した文書によると、セペリ氏は給与の他に、数年間にわたり合計50万ユーロ(約6200万円)近い支払いを受けていた。

 事情に詳しい関係者によれば、オランダの統括会社の取締役9人のうち、日産・ルノー両社と三菱自動車(Mitsubishi Motors)の3社連合からこうした報酬を受け取ったのはセペリ氏「ただ一人」だった。

 AFPが取得した議事録によると、2013年3月26日に開かれたルノー・日産連合のガバナンス委員会会合で、ゴーン被告とその右腕のグレッグ・ケリー(Greg Kelly)被告が、セペリ氏に対する報酬支払いを承認。この会合に出席した委員は両被告だけだった。

 ゴーン被告は現在も名目上、ルノー会長と3社連合のトップを務めている。フランスでは公判前のゴーン被告の長期勾留を認める日本の法制度への批判が生まれている他、日産社内勢力がゴーン被告に対する策略をめぐらせているとの見方も出ている。

 セペリ氏への支払いに関する報道を受け、ルノーは声明で「意図的に画策された不安定化工作」だと非難。またルノー関係者は、ルノー・日産双方の幹部が過去に特定業務に対する賞与を受け取っていたと指摘した。(c)AFP/Daniel ARONSSOHN with AFP in Tokyo