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【1月11日 AFP】スペイン治安警察(Guardia Civil)は10日、プロテニスの試合で八百長に関与した疑いがあったとして、犯罪組織に所属する15人の身柄を拘束したほか、昨年の全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2018)に出場した選手1人を含む68人を取り調べていると発表した。

 警察は、今回摘発された犯罪組織が、ATP・WTAツアーへの登竜門となる下部ツアーで若手選手に賄賂を渡していたことを明らかにした。さらに、不正防止機関「テニス・インテグリティ・ユニット(TIU)」からの正式な告発を受けて、捜査が開始されたことも付け加えた。

 今回の捜査で拘束または取り調べの対象となった容疑者の身元については明らかにされなかったものの、そのうち一人は昨年の全米オープンに出場した選手だという。

 スペインの地元メディアでは、同国出身の選手で2007年に世界ランク236位まで到達したマルク・フォルネルメストレス(Marc Fornell-Mestres)が、組織のリーダー格だったと伝えられた。同選手はTIUから「テニス反腐敗プログラム(TACP)に違反した疑いがある」と指摘されて調査され、昨年末に暫定の資格停止処分を言い渡されていた。

 欧州警察機関(Europol、ユーロポール)の声明文によると、犯罪グループは「試合を観戦して選手たちが事前の取り決めを守っているか確認していたほか、国内及び国際レベルの試合で、グループの他のメンバーに賭けるタイミングを指示していた」。またスペイン治安警察によると、犯罪グループは少なくとも2017年2月から活動して、数百万ユーロを稼いでいたという。

 テニス界ではトップ選手が高額な賞金を手にできる一方で、下部ツアーでプレーする選手は生計を立てることが難しく、八百長が大きな問題となっている。

 映像は、関係者宅を捜索するスペイン治安警察。首都マドリードで今月撮影。(c)AFP