■心変わり

 実験の結果、雌9羽のうち8羽が心変わりをした様子を見せ、餌箱を開ける能力が高い方の雄と触れ合う時間が、訓練の前よりも長くなった。

 この実験について論文は、「今回の結果は、性選択が動物種全体の認知特性の進化に影響を与える可能性があるとする、ダーウィン以降の仮説を裏付けるもの」と指摘している。つまり、自身が備える知力を示すことでより多くの繁殖相手を獲得し、未来の世代に自らのDNAをより多く残すための助けとなることが考えられるのだ。

 だが、この仮説を動物界で証明するのは容易ではないと専門家らは指摘しており、求愛儀式のような複雑な行動が伴う場合は特に難しいと注意を促している。

 今回の研究に参加していない米カリフォルニア大学アーバイン校(University of California, Irvine)の専門家らは、サイエンス誌に同時掲載された解説記事で、「雄が容器を開けるのに成功したのは、体力が優れているからだと雌が判断した可能性もある」とコメントしている。

 しかし、今回の研究手法については、「認知特性のための配偶者選択に関する実証的研究を前進させることが大きく期待できる」と称賛した上で、「将来の研究において配偶者選択に関する調査の重要なツールとなる」可能性が高いと述べている。(c)AFP/Ivan Couronne