【1月11日 AFP】歯科医院への通院は心地のよくない個人的なことだ。しかし、2020年米大統領選への立候補が取り沙汰されている民主党のベト・オルーク(Beto O'Rourke)前下院議員(46)は10日、自身が歯科医院を受診している場面を撮影した動画をソーシャルメディアで公開した。

 昨年、共和党支持が根強いテキサス州の上院選で大接戦を演じて一躍知名度を上げたオルーク氏は、米政府機関の一部閉鎖が続く中、歯科医院の治療用チェアに座っている時間を利用し、国境問題についてアピールした。

 オルーク氏は75万人のフォロワーを持つインスタグラム(Instagram)のアカウントに投稿した動画の冒頭で、「私は担当の歯科衛生士、ダイアナさんと一緒にいます」と述べた。ダイアナさんは動画の中で、緑の治療用エプロンを身に着けたオルーク氏の歯のクリーニングを行っていた。ダイアナさんは、オルーク氏と同じくテキサス州エルパソ(El Paso)出身で、メキシコ移民の娘として生まれたという。

 ダイアナさんは動画の中で、米メキシコ国境地帯を「美しいコミュニティー」と表現し、「私たちはお互いに助け合っていて、お互いが大好きです。他のみんなが私たちについて悪く思っているようなことはありません」と訴えた。ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は、不法移民を犯罪や違法薬物、ギャングと同一視しようとしており、不法移民の流入を防ぐためにメキシコ国境沿いの壁建設を求めている。この壁の建設予算をめぐる議会の行き詰まりによって、米政府機関の一部は3週間近くにわたり閉鎖されている。

 オルーク氏はソーシャルメディアを活用している米国の若手政治家の一人だ。この戦略がうまくいくか裏目に出るかはまだ分からないが、オルーク氏の動画は、特にツイッター(Twitter)で「その情報はいらなかった」という反応を引き起こした。

 ペンシルベニア州バックス(Bucks)郡民主党青年局のデービッド・ブリア(David Bria)局長は、「政治家が日常生活についてインスタグラムに投稿することには大賛成だが、どう考えてもベトの歯医者の予約まで公開する必要はないと思う」とツイートした。一方で、国境問題に関する政治的議論でオルーク氏の名前を宣伝するという目的を果たしたと指摘する支持者もいた。

 英紙ガーディアン(Guardian)の記者は、「やれやれ。ベト・オルーク氏が近い将来、結腸内視鏡検査を受ける羽目になりませんように」とツイートし、多くのインターネットユーザーの心の声を見事に代弁した。(c)AFP