【1月10日 AFP】香港政府は9日、中国国歌を侮辱した者に最高3年の禁錮刑を科すことを盛り込んだ法案を公表した。中国政府は特別行政区である香港に本土の政治路線に同調するよう圧力を強めている。

 同法案は1月23日に初めて香港立法会(議会)に提出される見通し。これにより、香港で徐々に自由が失われつつあると主張する民主派と当局との間で新たな対立が生じる可能性がある。

 中国では以前から宴会の場や結婚式、葬式での国歌の演奏が禁止されていた。2017年の国歌法ではこれがさらに厳格化され、適切な歌い方や場所が定められた。香港は以降、同法について検討してきた。

 草案によると、国歌への「深刻な」侮辱行為に対しては最高3年の禁錮刑が科され、香港が中国本土の国歌法を踏襲する姿勢であることが明らかになった。また「変更を加えたり、敬意を欠いたりする方法で(国歌を)意図的に侮辱して」歌うことや歌詞および楽譜の変更も禁止され、違反すれば禁錮刑のみならず、最高5万香港ドル(約69万円)の罰金が科せられるという。

 さらに草案では裁判官の就任式を含め、公式行事における国歌の演奏の頻度も定められている。中国本土とは独立した法制度下にある香港ではこの点に疑念が生じる可能性もある。

 香港立法会では親中派議員が多数を占めている。法案の可決には過半数の支持しか必要でないため、法案はほとんど修正されず成立する見通しとなっている。(c)AFP